[猫の恩返し]バロンの名前の由来は?

ジブリ映画の中でも評価の高い「耳をすませば」。

 

その主人公・月島雫の想像から生まれたのが、「猫の恩返し」という物語であり、この物語がスピンオフとして映画化されました。

 

 

この「猫の恩返し」の原作名が「バロン 猫の男爵」です。

 

 

原作名にあるように、この映画には、「バロン」という猫の男爵が登場します。

 

 

バロンは、格好は猫ですが、タキシード姿にステッキというイギリス紳士風の、気品のあるたたずまいを持っています。

 

 

このバロンは、紳士な雰囲気だけでなく、沢山のかっこいいセリフを披露しています。

 

 

巷では、彼のセリフが話題となっています。

 

 

例えば、猫の国で自分を見失いそうになった主人公・ハルに対して、

 

 

ダメだハル、自分を見失うんじゃない。君は君の時間を生きるんだ

 

 

迷っているときこのようなセリフを聞かされたら、男でもコロッとしてしまいそうです。

 

 

 

このページでは、こんな「バロン」の名前の由来について、考察していきます。




バロンの本名

 

 

バロンの本名は、「フンベルト・フォン・ジッキンゲン」という、ドイツ風の名前です。

 

 

バロンの物語のモデルは、「耳をすませば」に出てくるアンティークショップ『地球屋』にある猫の人形です。

 

 

この人形の出所は、ドイツになっています。

 

 

なので、バロンは、イギリス紳士の雰囲気ありますが、ドイツ風の本名なのは妥当であると考えられます。

 

 

本名については、のちほどお話します。

 

「バロン」の名前の由来

 

「バロン」の名前の由来の1つとしては、爵位の1つ「男爵」の英語名が考えられます。

 

 

以下に、爵位の称号の例と、英語名(男性、女性)との対応表を示します。

 

称号 英語名
大公 Archduke, Archduchess
Grand Prince, Grand Princess
Grand duke, Grand Duchess
Prince, Princess
公爵 Prince, Princess
Duke, Duchess
侯爵 Marquess/Marquis, Marchioness
伯爵 Earl/Count, Countess
子爵 Viscount, Viscountess
男爵 Baron, Baroness

 

なお、上記表は、爵位の一例であり、国際的にこの序列で統一されているわけではありません。

 

 

そして、「男爵」のドイツ語も「Baron」です。

 

 

原作名に「男爵」が含まれていることからも、「バロン」の由来は、男爵であるのが有力であると考えられます。




聖獣が由来の説も

一方で、インドネシアはバリ島には「バロン」という聖獣の伝説があります。

 

 

この聖獣は、様々な説がありますが、豚や虎、象などの動物とされることがあります。

 

 

一般的には、顔が赤く、全身が金色の毛や鱗に覆われ、上あごに二本の牙の生えた獅子です。

 

 

このバロンは、森の王を意味する「バナス・パティ」とも呼ばれています。

 

 

バロンは、太陽と光と治癒の象徴であり、その力はあらゆる災害を防ぎ、邪悪な力から人々を守ってくれるといいます。

 

 

猫の恩返しの主人公・吉岡ハルを助けたヒーローとしての姿は、こちらの「バロン」の側面かもしれませんね。

 

 

5.ジッキンゲンの由来

 

一方、バロンの本名「ジッキンゲン」の由来についても調べてみました。

 

 

ドイツに、「フランツ・フォン・ジッキンゲン」(Franz von Sickingen(1481~1523))という実在の人物がいました。

 

 

この人物は、「弱きを助け、強きを挫く」というイメージがあり、帝国騎士の親分的存在だった人物といいます。

 

 

フランツ・フォン・ジッキンゲンは、1481年にライン地方に近いエーベルンブルク城で生まれました。

 

 

ジッキンゲン家はプファルツ選帝侯に仕えており、他の帝国騎士よりも僅かながら余分の領地を持っていました。

 

 

フランツは家督を相続すると、積極的な領地経営に乗り出し、鉱山開発に成功してかなり裕福になりました。

 

 

彼は得た金で自分の居城を改築し、兵備を整え、1515年頃から盛んに都市や諸侯に対してフェーデを行うようになります。

 

 

「フェーデ」とは、歴史学における法学的意味での自力救済であり、一種の決闘でした。

 

 

このフェーデは「弱者に代わって義を通す」という名目で行われ、ジッキンゲンは、ヴォルムスなどの帝国都市やロートリンゲン公やヘッセン方伯など「強者」に対して果敢に挑み、見事に和解金をまき上げたので、一般民衆は彼に喝采しました。

 

 

後に彼は、カール五世の皇帝選出を支援しました。この功績によりジッキンゲンは皇帝の顧問になり、ますます諸侯を相手に堂々と振る舞うようになります。

 

 

その後、ジッキンゲンは、思想的にも実力的にもシュヴァーベン・フランケン地方の帝国騎士たちの首領になり、諸侯や司教に対抗できる勢力を誇りました。

 

 

そして、1522年に、トリーア選帝侯(大司教)に対してフェーデを宣告し、「坊主退治」(騎士戦争)を開始しました。

 

 

ジッキンゲンは、この戦いでの負傷が原因で死亡しました。

 

 

猫の恩返しにおけるバロンのヒーロー的な側面は、実在のこのジッキンゲンがモデルなのかもしれません。

 

 

6.最後に

 

猫の恩返しのバロンは、名前こそ、「男爵」が由来かもしれません。

 

 

一方で、キャラクター像的には、聖獣・バロンやドイツの実在の帝国騎士も由来の一部であったのではないかと思います。

 

 

「弱きを助け、強きを挫く」

 

 

まさに、ヒーローです。