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この記事では、殺戮にいたる病のネタバレ解説を行います。

伏線と衝撃のラストを徹底考察していきますので、まだ本を読んでいない方は気をつけてくださいね!



殺戮にいたる病のネタバレ

蒲生稔は逮捕された時、まったく抵抗しなかった。稔とこれまで考えられてきた殺人犯と結びつけるのは困難なほどだった・・・

・一人目の殺人

稔は大学の食堂で会った江藤佐智子という女子大生を喫茶店へと連れ出す。そこで根堀り葉堀り質問を続け、池袋のラブホテルへいく。稔は佐藤佐智子を絞殺する。

・二人目の殺人

次なる標的を見つけるために稔は歌舞伎町のゲームセンターへと向かい、えりかと名乗る少女と出会う。稔はえりかをゲームセンターから連れ出し、イタリアンレストランで食事をする。それからラブホテルへ。稔はえりかをベルトで絞殺し、さらに乳房まで切り取る。切り取った乳房を持ち帰り、稔はそれを愛す。

・3人目の殺人

地下鉄六本木の改札へ降りる階段にたどり着いた時だった。稔は島木敏子という女性を見つけ、彼女のあとを追う。敏子は小さなバーへと続く階段を下りていく。稔もあとを追い、バーに入ってから声をかける。飲みながら敏子の話を聞く稔。すっかり酔いつぶれた彼女を外に連れ出し、ラブホテルへ。部屋に入ると稔はビデオカメラをセットして録画を開始。ベルトで敏子を絞殺し、乳房と下腹部を切り取る。

・四人目の殺人

夜になると稔は車を出し、ドライブをしにいく。新宿、靖国通りを通った時、稔は田所真樹というOLを見つけ、言葉巧みに車に乗せる。横浜のホテルにいき、朝まで彼女を愛し、死体の一部を持ち帰る。

・ラスト

稔は島木敏子の妹であるかおるをバーで誘う。実はかおるはおとり捜査であった。そうとは知らず、稔はかおるをホテルへ連れていき殺害しようとする。が、“あいつが“それを阻止する。稔は“あいつ“(息子の信一)を刺し、その場を立ち去って自宅へ向かう。

自宅で稔は実母を絞殺し、犯していた。




殺戮にいたる病の伏線

この作品は3人の視点から成り立っています。

蒲生稔、稔の妻である雅子、元警部である樋口。

この作品の仕掛けを簡単に言えば、稔が雅子の息子だと思っていたが、実は雅子の夫であったというオチですね。

このミスリードさせるテクニックがかなりうまいです。

さっそくエピローグからミスリードを誘います。エピローグで蒲生稔が殺人犯であることが分かります。

そして第一章の冒頭で蒲生雅子が、自分の息子が犯罪者なのではないかと疑い始めたのはとあります。

これで稔は雅子の息子だとミスリードを誘います。

それから、大学の授業中と、稔が試験のために大学へ出かけたという記述。これで大学生だとミスリード。

稔は大学教授であるので授業もするし、試験もする。確かに間違ってはいない。

さらに、稔は大学を休んだ、と、稔さん。大学はどうしたの?という実母(容子)のセリフ。

これもミスリードを誘う。

そして、こっそりと戻ってきた息子の部屋のごみ箱から、赤黒い液体が残ったビニール袋を見つけた、という雅子の視点があります。これでもう息子は殺害を犯した稔であると思い込んでしまいますね。

この作品では雅子の夫(つまり稔)のことがほぼでてきません。

うまく息子(信一)に目を向けさせて夫の存在を隠してミスリードさせているわけですね。

それで、本当の息子(信一)もでてくるのはラストだけ。そして義母(容子)の存在もうまく隠し、母=雅子になるようミスリードさせています。

殺戮にいたる病のラスト

この作品のラストの衝撃はまず稔が“あいつ“を刺すところから始まります。読者は、ん?“あいつ“って誰だ?となります。この疑問が残りながらラストの雅子のセリフ。

「ああ、ああ、何てことなの!あなた!お義母さまになんてことを!」

この雅子の絶叫で蒲生稔の正体が暴かれます。稔は雅子の息子ではなく、夫であったのだと。

そして、朝刊の記述で詳しい内容が分かります。

蒲生稔は四十三歳の大学教授であること。

稔だと思い込んでいたのは大学生である蒲生信一、二十歳であること。稔に刺殺された“あいつ“の正体は蒲生信一。

稔の息子だったというわけです。蒲生信一は父の犯罪の証拠をつかむために稔の身辺をかぎまわり、ホテルで犯罪を阻止しようとしていたのです。

 

殺戮にいたる病の考察

この作品は本当にうまくできています。最後の衝撃はかなりのものです。が、よく読んでみると違和感がある場所もあります。

例えば、稔のセリフで「一回くらい休講してもかまわないさ」とあります。

大学生が休講にできるでしょうか?教授である稔であるからこそでたセリフだと思います。

そしてもう一つ。第二の被害者であるえりかのセリフ。

「まあ、オジンには無理かもね」「分かったわ―お・じ・さ・ま」

大学生に向かって言うセリフではありませんね(よほどの老け顔ならあり得ますが)。四十三歳の稔に言っているとなれば頷けます。

一回目はさらっと読んでしまいましたが、もう一度読んでみると、そういうことか、と思いました。

殺戮にいたる病はグロテスクな描写がかなり多いです。

苦手な人は苦手かと思いますが、ぜひ読んでもらいたい作品です。あのラストの衝撃はなかなか味わえるものではありません。しばらく呆然としますよ。