草津白根山の噴火を予測できなかった理由は?

非常に残念なお知らせが入りました。

僕の出身である群馬県の草津白根山が噴火し、近くで訓練をしていた陸上自衛隊の隊員8人に噴石が当たり、このうち1人がお亡くなりになられたということです。

白根山は火山災害が起こりうる常時観測火山の1つとして、24時間監視されていたにも関わらず、なぜこのような事故を防ぐことができなかったのか?

まずは、今回の災害の状況を整理し、白根山噴火を予測できなかった理由について考えてみましょう。


噴火速報が遅れてしまった理由とは?

今回の災害の被害が大きくなってしまった原因の1つが噴火速報の発表が遅かったことです。

気象庁は24時間体制で白根山を観測し、データに異変があれば迅速に登山者に危険を知らせるのが噴火速報です。

しかし、今回、気象庁が白根山の異変に気がついたのは草津町から「山頂に煙が上がっている」という連絡を受けた後。

つまり、気象庁の観測データからは異変が察知できなかったのです。

そのため、噴火警戒レベルが2(火口周辺立ち入り禁止)に上がったのが噴火から1時間後、さらにレベル3(入山規制)に上がったのが、その45分後と完全に出遅れてしまったのです。

ただ、火山の予兆が全くなかったのか?といえばそうではなく、気象庁の観測データにも火山性微動は確認されていたのです。

それにも関わらず、気象庁の噴火速報の発表が遅れてしまったのは次の2つが原因です。

・警戒していた白根山ではなく、本白根山が噴火したこと

・本白根山の直近の噴火は3千年前で、データ不足だったこと

警戒の薄かった本白根山で噴火してしまった

以下の地図を見てください。

赤いピンが噴火が確認された本白根山の鏡池で、湖のような場所が地震が起こるであろうとされていた白根山の湯釜です。

実は気象庁が以前から警戒していたのは、白根山の方で、本白根山で噴火が起きるとは思っていなかったのです。

というのも、1800年以降、噴火が10回以上記録されているのは、いずれも「湯釜」を中心とした白根山山頂火口周辺で、本白根山さんでは最後の噴火記録が3千年前なのである。

そのため、本白根山の方には監視カメラが備え付けられて折らず、目視による噴火の様子を気象庁が確認できなかったのです。

仮にもし、今回の噴火が白根山の湯釜であったならば、火山性微動で噴火速報を判断できなくても、監視カメラの映像から噴火災害レベルを引き上げることができたのです。

被害に遭った8人について

今回の噴火で被害に遭ったのは、噴火口の近辺で訓練をしていた陸上自衛隊員8人です。

8人は噴火口に近い「連絡コーススカイライン」にいたところ、「ドカン」という音がして、噴石が飛んできたので、林に避難したとのこと。

10分ほどは煙がすごく、周囲が確認できなかったが、視界が開けたときには、周りで隊員が倒れていたようです。

このうち、一人は胸を強く打ってしまいお亡くなりに。残りの隊員7人も重軽傷を負い、このうち2人の容体が悪化して緊急手術を受けたということです。

噴石の危険性

隊員を襲った「噴石」は火山災害の中でも非常に恐ろしいものです。

そもそも、噴石とは爆発的な噴火がおきると、火口から岩石が吹き飛ばされ、建物の屋根を突き破るほどの破壊力で向かってくるものです。

被害範囲は2~4キロぐらいまでしか飛びませんが、直撃すれば命を落とす場合もあると言われています。

隊員は噴火直後、林に避難したとのことですが、噴石の被害は免れませんでした。

今後の対策

観測外の火口で噴火が起きたことをふまえて気象庁は次のように対策を考えています。

「多くの火山では、噴気などの活動がある火口から5キロくらいの範囲で噴火が起きる可能性はあり、これをカバーするような観測態勢が必要だ。複数の火口での噴火を想定したハザードマップの作成など対応を考える必要がある」
出典:毎日新聞